ベースボールと野球を繋いだ男

ーDr.Imazato/今里純 知られざる戦後・日米野球交流の物語ー

著者 竹本武志

価格 2,640 円(税込) 四六判/352ページ/並製

ISBN 978-4-9911225-2-1  C0075

昭和時代に卓越した英語力で大リーグ要人と友好関係を築き日本プロ野球の発展に尽くした一人の歯科医師の物語。錚々たるレジェンド達が登場する一大野球史!今里の寄贈品を保管する米野球殿堂博物館に現地取材敢行!

終戦まもない頃、兵庫県の小さな田舎町・西脇で、夜ごと進駐軍向けの短波ラジオの大リーグ中継に耳を澄まし、固唾を呑んで試合のスコアを記していたひとりの歯科医師がいました。

ゲームの詳細について各球団にエアメールでの問い合わせを繰り返すうちに、その名は大リーグ関係者の間に広まって行きました。彼らから“世界一のベースボール・ファン” “ドクター・イマザト”と愛され、戦後の日米野球界に橋を架けた男、今里純。

昭和の時代、今を時めく大谷翔平はもちろん、まだ野茂英雄もイチローも松井秀喜もMLBで活躍していなかった頃に、いち大リーグファンの枠を超えて、日米野球界を結び付ける重要な役割を一手に担っていたのが今里純その人です。


★米大リーグコミッショナー、フォード・フリックと文通
★日米野球で来日したチームの通訳を務める
★来日したセントルイス・カージナルスの試合に際し米ラジオ局からのインタビューを受けウィットに富んだ英語力を披露、特別番組で紹介される
★デトロイト・タイガースと阪神タイガースの提携に尽力
★『テッド・ウィリアムスの打撃論』を独自に翻訳し野村克也、山内一弘ら大物選手に参考資料として無償で送る
★西脇市の今里家には吉田義男や村山実、また西脇出身の鈴木啓示らが頻繁に訪れ、最新の大リーグ事情を今里から聞き出し野球論を闘わせていた
★米大リーグの野球協約や球団経営を詳細に研究、プロ野球コミッショナーの相談役でもあった

詳細は本の中でたっぷりとご紹介していますが、これらは今里純と米大リーグ、日本プロ野球界との関係の深さを示すエピソードのごく一部でしかありません。

2025年7月27日、イチロー氏の米野球殿堂入り式典が現地・クーパーズタウンで行われました。日本人プレーヤーとして、アジア人プレーヤーとしての同殿堂入りは史上初となる、正に偉大な快挙です。
プレーヤーではありませんが、映えあるクーパーズタウンの野球殿堂博物館館内にその功績が讃えられ資料が飾られた日本人がいます。今里純は、丹念に彼が記したスコアブックが“Jun Imazato Collection”として同博物館に大切に保管され、かつて展示もされていた時期がある程の人物なのです。

戦後のMLBとNPBを繋いだ今里純の、この歴史的な価値を備える物語をより深く掘り下げ、広く野球ファンに伝えるべく、取材の渡航費と印刷代の一部のご支援をお願いし、今年1~2月にはクラウドファンディングを実施、4月16日と17日の2日間、米野球殿堂博物館に現地取材を敢行しました。貴重な取材の成果も本書に盛り込んであります!

【目次】

まえがき

プロローグ
日米野球史に隠された男/惣太郎、アイク、バンチョ、そして…

1stイニング 夜ごと進駐軍放送の大リーグ中継に熱中した歯科医
日本のイマザト、聴こえるかい?/スポーツ記者・鈴木三郎/今里家を訪ねる/アメリカ性野球熱

2ndイニング 終戦直後の青春 英語と野球とアメリカ文化
大リーグ実況を介した日米親善/戦後日本プロ野球の胎動/大リーグ関係者との親密な文通/歯科学生時代の「今里伝説」/サウスポーの語源を説く

3rdイニング 大リーグで最も有名な日本人
ジュン・イマザトに会いたい/今里の肉声、米国で流れる/“ドン・ブレイザー”ブラッシンゲーム/転機となったカージナルス来日/大リーグ有力者と繋がる/どこよりも早く西脇に届いた大リーグ情報/米国人歯学教授の今里家訪問記

4thイニング 日本プロ野球コミッショナーを支え続けた男
プロ野球コミッショナーの知恵袋/「本場ファンが見た日本シリーズ」/監督とGMの関係/トレードと独禁法/ピラミッドと底辺の大切さ/日米の記者、その差異/データ活用の勧め/チケットとスカウティング/「米国野球選手の風潮」/スタンカ問題

5thイニング 阪神初の海外キャンプ、D.タイガースとの提携に尽力
サンフランシスコ・ジャイアンツの来日/デトロイト・タイガースの来日/日米タイガース交流秘話/村山実、日本人初の大リーガー誕生?/阪神タイガース、初の海外キャンプへ/コーファックスに宛てた手紙/「共同宣言」と今里/90年代の極秘文書

6thイニング 『米国野球協約』を翻訳した大リーグ研究家
克明な「大リーグ」年間記録ノート/ツー・プラトン・システムの功罪/「米国野球の経済白書」/球界への貢献と無理解/『米国野球小史』/『米国野球協約(Major League Rules)』/『野球学』の出版

7thイニング 今里純に繋がる錚々たるプロ野球人たち
三好一彦(元阪神球団社長)/牛若丸・吉田義男(元阪神遊撃手・監督)/熱血漢・村山実(元阪神投手・監督)/打撃の職人・山内一弘/世界が認めたホームラン王・王貞治/プロ野球勤続44年・丸山完二/「最後の300勝投手」草魂・鈴木啓示/谷村友一審判員/福井宏審判員/野村克也を覚醒させた「野球が大好きなお医者さん」

7thイニングストレッチ ドジャータウンへ連れていって
大人たちのドリームキャンプ/『THE BOYS OF SUMMER 』/キャンプのスケジュール/わたしのドジャース・キャンプ体験/ハリウッド映画出演まであと一歩

8thイニング 『今里純野球展』の開催 西脇と今里
地元西脇で開催『今里純野球展』/『今里純野球展』の反響/『今里純野球展』を振り返る/日本有数のコレクション/メディア各社の報道/開催までの道のり/大学と地域の連携/市民活動と行政の新しい関係/コミュニケーションのひろがり/今里家と実行委員会との関係/事務局として感じた今後の課題/今里コレクションのこれから/地元歯科医師会による報告文/「地域の人育て」英語教育と国際交流/映画『愛と死をみつめて』と「歴史のif」

9thイニング 人間・今里純
今里メモ(1974~1995)/阪神球団、吉田監督との絆/潔い人物だった/日米野球新時代を前に

Extraイニング クーパーズタウンへ
「米野球殿堂博物館」所蔵の今里コレクション/クラウドファンディングで支援を募る/現地取材を前にしておくべきこと/LA、リトル・トーキョーへ/憧れの街、ポートランド/いざ、クーパーズタウンへ/ジュン・イマザト・コレクションとの対面/ベースボール文化の真髄/クーパーズタウンとの別れ

エピローグ
ポートランドの小学生に今里純を伝える/WBC会長からのメッセージ

父が贈るであろう言葉  今里聡

あとがき

年表

主な参考文献・資料

【著者プロフィール】

竹本武志/1949年兵庫県西脇市生まれ。県立社高校体育科、順天堂大学体育学部卒業。三木市、西脇市で31年間の教師生活を送り2004年春に退職。体育科教諭として陸上競技部、野球部を指導する傍ら、地域の軟式野球チームで30年間プレー、現在も古希野球チームで投手を務める。

1990年から数回に渡ってメジャー・リーグを見学、2004年、2006年には「ドジャーズおとなのキャンプ」に参加して米国でのプレーを経験する。

2012年、「今里純野球展」を西脇市郷土資料館にて開催、日本野球界の要人も多数来場する盛況となった。著書に『スポーツを新しい風にのせて』『神戸から軟式野球の灯を消すな!』がある。スポーツライターとして、執筆、講演活動を行っている。

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